12. Santa's Helper

 「Leek Rag's Leek」から一変、早急な玉田豊夢のブレイク・ビーツが様相をがらりと変えて、すべての感情の奥深くに落とし込む。ドスンと。ドスンと。そして、山口寛雄のベースラインが地を這う。池田貴史の手によるサウンド・エフェクトが響き渡る。そう。ダブだ。これはダブだ。驚愕だ。まさか100sの楽曲でこれほどまでのダビーな音を聴く機会があるなんて微塵にも思ってもみなかった。
 ブックレットに表記されている通りにここに正式な曲順の表記を掲載すると、「11〜12. Leek Rag's Leek〜Santa's Helper」ということになる。多少なりとも、歌詞が辛辣であったとしても楽曲として高揚して行く「Leek Rag's Leek」が流れ出した時、聴き手としては何かしの救われた感を感じ取っていたと思う。し、か、し。ここで、また改めて落とされる。けれども、歌詞もメロディーもない問答無用のダビーな音像を突き付けられた瞬間、『OZ』の2部作となる重い雰囲気がすべて左脳のこ難しい解釈から解き放たれ、右脳に感覚的にドスンと突き刺さるのだ。ダブという音の間を感じさせる楽曲手法を駆使して、2部作のあらゆる不安、迷いへの思いをすべてこの数分間の楽曲の魔法によって吸い込まれてしまうのだ。そして全てが一瞬にして無になるような感覚に陥る。
 皮肉にもタイトルは「Santa's Helper」。Head arrangeが池田貴史であるということもあって、どこかにこのタイトルと楽曲の落差にユーモアが挟まれているのかとも勘ぐってしまうが、それさえも逆手にとって聴き手に突き刺してやろうという彼のブラック・ユーモアがタイトルに現れているのではなかろうか。

 そして、この楽曲のアウトロが、あの名曲達への掛け橋となる。。。。。