7. OZ

 子供のはしゃぎ声?マンチキン?そんな妄想を喚起させる様々な声の後に続くのは、和太鼓を中心としたあらゆる打楽器(もしかしたら打楽器なんていう名称とは程遠いがらくた)を書き集めて、「我ら、日本人ありけり」という意志表明にも聴こえるビートが響き渡る。「原始人がおなじ人間とコミュニケーションを取るにあたって、言葉の前にまずビートが存在していた」という説話まで遡って行ってしまってもいいのかもしれない。そんな原初的なビートの上を這い、泳ぎまくるのは、前作『100s』に収録されていたインスト「Sui」にて物憂げでもの哀しくそして刹那ギタープレイを披露した小野慎一の神髄とも言えるギターの旋律。生を無くした命さえも浮遊してくるかのような感覚。「OZ」とは、『OZ』3部構成の第2部をはじめるにあたっての、プロローグ。
 はたしてこの楽曲の奥深くから囁かれる声はなにを僕らに伝えているのであろうか?