8. 愛すべき天使たちへ(対 ベートーベン交響曲第八番)『対音楽』収録楽曲の中で一番最初に世に出た作品がこれである。100s名義で創り上げた『フラワーロード』をリリース後、彼は、コンセプトサイト『KIKA:GAKU』をオープンさせた。その中で、ファンクラブ「博愛堂」のDVD会報のタイトルにもなっていて。その時点で、既に出来上がっていたナンバーである。さらに、正式なリリースとしては、昨年リリースされた、『最高宝』に収録。その時点ではアコースティックでの弾き語りとなっていたが、今回は、ベートーベン交響曲第八番の旋律と共に新たにレコーディングされたものとなっており、楽曲の壮大感がとてつもなく力強く、単なる弾き語りを超えた、まさに、「一人交響曲」のような音像を存分無く、魅せている。
この楽曲に込められたメッセージは、「独りでも行くんだ」という意志がこれでもかと溢れかえっている。それを、「君に届けるんだ」という意思が込められている。そう考えると、彼が、いつ、どの時点で、今回の「中村一義×ベートーベン」というコンセプトを思いついたのか。『対音楽』の制作を考えついたのか。その想いは計り知れないが、100sとの活動を一旦終わらせて、コンセプトサイト『KIKA:GAKU』をスタートさせたときに既にもう、独りで作品を完成させていくと決意していたのだろう。そういった意味で考えると、ここで歌われるメロディと歌詞と唄と想い全てが、このアルバム、『対音楽』の根底を為していると思える。きっとそういうことだろう。
“大声で、歌いたい。”
“いつも、心で。”
この、想いが、溢れている、歌詞。
これが、全て、だ。